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教諭

平成13年4月1日 心誉康隆

宗祖法然上人の御生涯とお言葉は、すべての宗門人が範とすべきものであり、念仏の教えを奉ずる檀信徒が価値ある生涯を全うするための指針とすべきものである。
上人は善導大師の指南をうけ、易行たる称名念仏によって、全人類の救済を誓約された阿弥陀仏の本願大悲を証得され、万人がひとしく浄土に往生することのできる道をひらかれた。それは吾等(われら)の生命が、実に天地の大生命に依って支えられ且つ活(い)かされている実相に暗い吾等に賜った暗夜の光明というべきものである。
時は移り世は変るとも、自我に妄執する人間が生老病死の四苦、乃至八苦に悩むことは古今東西をとおして少しも変ることがない。
ここに近く宗祖法然上人八百年大遠忌を迎えるにあたり、上人の芳躅(ほうしょく)をしたい「愚痴(ぐち)に還(かえ)りて浄土に生(うま)る」と説かれた還愚(げんぐ)の御意(みこころ)を体して、称名念仏することは、とりもなおさず仏の大悲の御心(みこころ)にかなうことであり、四苦八苦の人生にありながら仏の擁護をうけて、「死生(ししょう)ともに煩(わずら)いなし」と、安堵した生涯を全うすることができるものである。
二十一世紀の初めにあたり、上人の還愚の御意を体して、称名念仏を相続されんことを願うものである。

南無阿弥陀仏。

平成13年4月1日
浄土門主 心誉康隆