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教諭

平成2~4年4月1日 明誉實應

月影のいたらぬ里はなけれども
ながむる人の心にぞすむ
このお歌は、ご承知のように、宗祖法然上人がお詠みになりました和歌で、浄土宗の宗歌として、親しまれています。
このお歌は、いかなる人も阿弥陀仏の懐に包み生かされて生きているという心をよまれたものであります。しかしお念仏を申す人こそ、阿弥陀仏のみ心に触れて、お救いを頂くことができる、というのが本義であります。
宗祖上人は、お亡くなりになる二日前にしたためられました『一枚起請文』を、「ただ一向に念仏すべし」と結んでいられます。お念仏を申す人は皆、往生浄土の本懐を遂げさせて頂くのですが、それと共に身も心もともに健やかに、この世の営みを送らせて頂けるのであります。
ご先祖に捧げる供養ばかりがお念仏ではありません。どうか檀信徒の皆様方は、ご自身の現在ただ今から将来のために、是非毎日お念仏を続けられ、仕事をなさるにも、人に接せられるにも、お念仏を土台として、日常生活をお送り下さいますことを、九十歳を越えた老衲のいたっての願いとして申し上げる次第であります。

平成4年4月1日
浄土門主 明誉實應