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教諭

平成5年4月1日 心誉康隆

いけらば念仏(ねんぶつ)の功つもり
しなば浄土へまいりなん
とてもかくても此身には思ひわづらう事ぞなき
と思ひぬれば死生(ししょう)ともにわづらひなし
このお言葉は宗祖法然上人様が、つね、日ごろお話になった御自身のお気持ちであります。お念仏にいかされた悦びの中に、阿弥陀仏の無量寿(とわのみいのち)を頂かれた宗祖上人様の実感のこもったお言葉を、今ここに拝聴することを幸せとする次第であります。
私たちにとっていのちは、かけがえのない第一の宝であります。毎日働くことも、得られる利得も、すべていのちあってのことであります。私たちのいのちは、ご両親から、さらにご先祖から頂いたいのちであります。よくよく考えますと、阿弥陀仏の無量寿(とわのみいのち)につらなっているのです。決して私独りのいのちではありません。大いなる無量寿(とわのみいのち)に生かされながら生きているのでありますから、その幸せをいつも悦び、ありがたいと感謝し、もったいないと常に反省をくりかえしたいと存じます。常にお念仏を申していますと、死ぬのではない無量寿(とわのみいのち)を生きるという心が芽生えてまいりますから、死と生にとらわれず、身も心も軽安(さわ)やかな日暮らしを送ることができます。これこそ私たちの生き甲斐でなくして何でありましょうか。私たちが自分の健康と長生きを願うのは、このような生活おくるためであります。
どうか皆様方には、お念仏を土台として無量寿(とわのみいのち)にいかされながら日常の生活を営み、感謝と反省をかさね、世のため、人のためおつくし下さることを祈念してやみません。

平成5年4月1日
浄土門主 心誉康隆