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教諭
昭和56年4月1日 明誉實應
それ教吠おしえ)は、時と機に相應するにあらざれば時代に生き人を生かし社会をうるほすこと能はず
思うに現下の世相は表面的なる豊かさに反して環境の破壊と公害の続出とにより自然と人間および動植物との協調関係を失うと共に精神的不満疎外感をもたらし信頼の缺如道義の頽廃非行の頻発生命の軽視等憂慮すべき事態の展開せるを見るしかれども諸人はそのなかにありて一途に願いを人間性の回復に掛くるや誠に切なるものあり
この時に當りわが浄土宗門人は僧俗をあげてこの世人の悲願に目覚めその果たすべき使命・責務の実に重かつ大なることに深く心を致しその危機感を拭うべく雄々しく立ち上がるを要す今こそ高祖善導大師・宗祖法然上人の行実をかがみとし称名念仏の一行を策励すべき時なり
近くは慶讃すべき宗祖法然上人ご降誕八百五十年を迎ふるにあたり浄土宗門の各位は内に宗祖が体現し給ひし「死生ともに煩ふこと」なき心にめざみづからも亦かかる心境を生き貫く人に生まれ変ることを目指して祖道を一身に体するとともにさらに外に向ひては進んで時代の要請世人の悲願にこたふべく利他度生に邁進せられんことを請ふ
昭56年4月1日
浄土門主 明誉實應