お知らせ
新型コロナウイルス感染拡大に伴う宗務総長からのメッセージ 「この難局を〈ともいき〉のこころで」
この難局を「ともいき」のこころで
新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々、そのご遺族の皆さまに対し謹んでお悔やみを申しあげますとともに、罹患された皆さまに心よりお見舞い申しあげます。また、身を挺してご尽力いただいている医療従事者をはじめとした関係者に対し、敬意を表します。
日本に初めて緊急事態宣言が発令されて3週間。感染拡大の影響により、日本のみならず世界の方々が未だ厳しい状況に置かれており、事態の長期化も想定されております。また、緊急事態宣言が解除されたとしても、直ちにそれまでの日常が戻ってくるわけでもないでしょう。4月13日に総本山知恩院御影堂で勤められた遷座法要での浄土門主伊藤唯眞猊下のお言葉にもございましたように、これまでの日常の有り難さを思い知らされるところであります。
歴史上、幾度となく天災や疫病が発生してきました。しかし、先人たちがそれを乗り越えて、いま、私たちが存在します。そこには、人々が助け合いながら、ご先祖から未来へと命をつなげてきた「ともいき」の姿があります。
現在、感染拡大を阻止しようと様々な取り組みがなされています。例えば、働き方や学び方などは、インターネットを活用することでこれまでの常識や慣習の転換も起こりつつあります。そうした現代の技術などでできる対応に万全を尽くすことは大切ですが、そこに、昔から変わらない「ともいき」の心を込め、感染者に対する差別や自己中心的な行動をすることなく、お互いを思いやって過ごすことが今の私たちに求められています。
また、寺院関係者各位におかれましては、檀信徒の皆さまとの関わりや法要の執行等が大きく変化し、困難な状況にあることと存じます。そのなかで、創意工夫して少しでも法然上人のみ教えを伝え、社会の皆さまの心の支えとなるよう努めていらっしゃることに感謝申しあげます。いままさに、浄土宗開宗850年を機に向上を目指している「僧侶の資質」が求められています。
戦後最大といわれるこの難局を、寺院と檀信徒の皆さま、そして社会全体とが力を合わせて乗り切り、穏やかな日常の生活が一日も早く戻ることを祈念いたします。
令和2年4月30日
浄土宗宗務総長 川中 光敎