1うらみの社会
この現代社会、不平不満でいっぱい。あいつがどうした、こうした、ひきかえ自分は……と不遇をかこつ言葉が
「怨み屋」という商売をインターネットで発見した。うらみの内容を分析し、有料で
しかしはたして、「うらむ」のは人間にとって当然の心理行動なのだろうか?
うらみ。
怨・恨・憾・慍・慊・恚 ……。
「うらみ」と訓読みする漢字は数え切れないくらいある。そして、そのほとんどが「りっしんべん(忄)」か「心」がつく。「うらみ」は人間の心の問題としてとらえられるようだ。「
ここで読み取れることは、「うらみ」とは心が抑圧され自分自身の中に向かい、極まって、さらに外へ攻撃的になった状態と言えるだろう。最初自分自身に向かった心理的攻撃が、次に他者に向かう、これがうらみの構造である。
すなわち、ねたみが発生して、それに終わらずさらに他人を心理攻撃する。他者攻撃であるうらみ行動は、自分の傷ついた心を修復させるためにあるとも理解できよう。
さて、うらみが本来おのれの心の問題であるとすれば、おのれに向かう最初の抑圧で終了させれば、他者へ向かううらみは発生しない……。なるほどそうだが、心の問題はそう単純に対処できない。うらむな、うらむな、と言ったって、簡単な所作ではない。心の方向をコントロールすることはかなりの難行道である。すでに自分の心が傷ついているのだから。