五、仏教徒、浄土教徒たるの自覚

 法然上人は、戒徳高き念仏の高僧として当時の人々より崇敬をうけ、しばしば授戒を行われるとともに、ひろく民衆に念仏の教えを説かれた。この行状を範として仏教徒たるの自覚を高めて、「仏教徒らしき考え」「仏教徒らしき生き方」をあかす指針として「授戒」がある。また浄土宗徒としての信心を涵養して、仏とともに在る念仏生活をすすめるために「五重相伝」がある。これらを盛んにして、檀信徒の信仰生活を指導することが大切である。

 一七日に亘る授戒、五重の行儀は、受者に大きな感化を与えるばかりでなく、檀信徒間の親睦が深くなり、寺院に対する関心が大きくなる。ことに五重相伝は浄土宗独特の行事であるから、寺院住職は努めてこれを修するように励むべきである。

(昭和58年度 浄土宗布教必携より)