かたみとて はかなき親の とゞめてし この別れさえ またいかにせん
時々別時の念仏を修して、心をも身をも励まし、整え勧むべきなり。日々に六万遍、七万遍を唱えば、さても足りぬべきことにてあれども、人の心様は、甚(いた)く目慣れ耳慣れぬれば、苛 々 と勧む心少なく、明け暮れは?々として心閑かならぬ様にてのみ、疎略に成り行くなり。その心を勧めんためには、時々別時の念仏を修すべきなり。しかれば、善導和尚も懇ろに励まし、恵心の先徳も詳しく教えられたり。
(『勅伝』第二十一巻/聖典六・二九四)
(1) | 服部英淳「母のたより」『仏教とはなんだろうか』増谷文雄・服部英淳篇、昭和五十六年、道心会出版部。 |