【資料H】
●五重相伝会 贈五重 回向文 文例
「御詠歌」より
月かげの いたらぬさとは なけれども ながむる人の 心にぞすむ (全般)
極楽も かくやあるらん あら楽し はや参らばや 南無阿弥陀仏 (全般)
阿弥陀仏と 申すばかりを 務めにて 浄土の荘厳 見るぞ嬉しき (全般)
極楽へ つとめて早く 出でたたば 身の終わりには 参り着きなん (全般)
露の身は ここかしこにて 消えぬとも 心は同じ 花のうてなぞ (新亡)
生けらば念仏の功積もり 死なば浄土へ参りなん
とてもかくてもこの身には 思いわずらふ事ぞなきと思いぬれば
死生ともに わずらひなし 南無阿弥陀仏 (全般)
※以上、法然上人御作
後の世も この世もともに 南無阿弥陀仏 仏まかせの 身こそ安けれ (全般)
※無能上人御作
極楽は 遥けき国と 想いしに 南無阿弥陀仏に かようあしもと (全般)
※椎尾辨匡大僧正御作
さきだたば おくるる人を まちやせん 花のうてなの なかばのこして
(七回忌くらいまで)
※作者不詳
「和讃」より
◎日々に念仏の積もりなば 生死の憂い離るべし
ただみ仏に 生かさるる 弥陀の名号称うれば 自他善根の浄土なり (全般)
◎無常の風に誘われて 花の浄土に旅立ちし 親兄弟やいとし子を
涙あらたに 回向せん (新亡)
◎阿弥陀如来のみ光に 摂取されゆく身にあれば
思いわずらうこともなく とこしえかけて安からん (全般)
◎摂取不捨の光明は 念ずるところを 照らすなり
観音勢至の来迎は 声を尋ねて迎うなり (全般)
◎昔は大悲の御利益を 僅かに伝え聞きしかど
今は弥陀の引接を 心のままに蒙むれり (全般)
◎娑婆界をば 厭うべし 厭わば 苦海を渡りなん
安養界をば 願うべし 願わば 浄土に生まるべし (全般)
◎弥陀のみ光念じつつ 面影ともになつかしみ
回向ささぐる 御供養 受けて蓮(はちす)におわしませ (全般)
◎瞼に浮かぶ門出の 別れの言葉あの姿
ありし面影偲びつつ 念仏となえて供養せん (戦死)
◎忘るるなかれ 殉国の 尊き命そのいさを
在りしあの日の思い出に 面影偲ぶもかなしけれ (戦死)
◎未だ歩めぬ みどり児を いだきかかえて なでさすり
憐れみたもう(ありがたき・地蔵尊・菩薩さま)南無阿弥陀仏 阿弥陀仏
(おさな児)
◎親子の縁(えにし)はかなくて 水子のうちに この世去り
母の乳房を さがしつつ ひとり闇路の おさな児や
誓いの筏あやまたず 弥陀の浄土へ導かん (水子)