この憲法では、第1条で天皇の統治権が規定され、基本は人権の根本である国民主権ではなく天皇主権であった。人権も天皇の臣民としての権利であって、多くの人権規定が法律によって制限を受けることが、条文に規定されていた。たとえば、第28条信教の自由は、「日本臣民ハ安寧秩序ヲ妨ケス及臣民タルノ義務二背カサル限リ二於テ信教ノ自由ヲ有ス」という形で、「秩序違反をせず、国民の義務を全うする」ものにのにみ与えるという二種の留保条件がつけられていた。この条件は法律による制限といった明確な規定の存在を必要としていないため、政府の自由な制限を生みだすことになった。
(平成8年度 浄土宗布教・教化指針より)