三、大日本帝国憲法の信教の自由

 こうして成立した人権は、近代国家の成立と立憲主義の普遍化とともに、これを憲法上保障することが近代国家として不可欠の要件とされていった。しかし植民地主義や国家中心の考えが強まるなかで、自然権的な考えは後退し、人権は国家が憲法によって、国民の権利として与えられるとする考え方が出てきた。市民が自らの力と犠牲によってかちとって作り上げた国家と憲法でないそうした基本的人権は、国家によって与えられた自由、いわば「見せかけの自由」「外見的な人権宣言」でしかなく、人権が真に機能することが妨げられた。通称明治憲法、大日本国憲法はこの代表例である。

(平成8年度 浄土宗布教・教化指針より)