布教・教化指針

布教・教化指針序文

 この『布教・教化指針』は「教諭」の精神に則り、本宗の全寺院住職はいうまでもなく、直接布教・教化に従事される教師に、教化宗団としての本宗の布教・教化の基本方針を示すものである。

 「教諭」を拝読すると、来たるべき平成十年(一九九八)は、建久九年(一一九八)に法然上人が『選択本願念仏集』(以下『選択集』と略称する)を撰述されてより八百年となることを踏まえて、法然上人の「選択本願念仏」のみ心を再確認し、顕彰し、現実の災害興亡定かならぬ苦難の路を、宗祖法然上人の説かれた「選択の道」に変えて一歩一歩生き行き歩め、とのお示しが述べられている。

 「選択」の二文字ほど法然上人のみ教えの特色を簡単明瞭に示すものはない。しかしながら謙虚に反省すると、今まで、本宗の布教・教化の上で、どれほど顕彰され、主旨に沿って活動がなされたであろうか、と考えると、その努力は十分であったとは言いがたい。『選択集』の宣揚は徹底されていない面があるのではないだろうか。

 以上のような受けとめ方から、本年より三年にわたって『選択集』のご主旨を理解してゆき、撰述八百年の節目に備えたい、と念願して、次のように、順序を立てて、指針が作られた次第である。

 『選択集』の目標を、順次に三年度に分けて、「選択」、「本願」、「念仏」とした。もちろん、三つの言葉は連なる相互に関連のある言葉ではあるが、『選択集』の意義を明確にするためと、各章の内容が左記のように特色をもっているために、今回特に分けて考えたのである。(章段は石井教道著『選択集全講』による)

【初年度の平成七年】 「選択」−選ばれた道一筋に−

 『選択本願念仏集』

  第一章  聖道門を捨てて浄土門に帰す

  第二章  雑行を捨てて正行に帰す

  第三章  法蔵菩薩(前生の阿弥陀仏)仏国土選択

  第十七章 (十六章私釈段部分、石井教道『選択集全講』による別章立)

四経

『無量寿経』

『観無量寿経』

『阿弥陀経』

『般舟三味経』

[四経の選択]

1 選択本願

2 選択讃歎

3 選択留教

4 選択摂取

5 選択化讃

6 選択付属

7 選択証誠

8 選択我名

[八種の選択]

弥陀

釈迦

六方諸仏

[三仏の選択]

三仏

「選択」

【二年度の平成八年】 「本願」−生かされる道一筋に−

  第三〜六章『無量寿経』−「本願」

【三年度の平成九年】 「念仏」−念仏称名一筋に−

  第七〜十二章『観無量寿経』

  第十三〜十六章『阿弥陀経』

「念仏」

(平成7年度 浄土宗布教・教化指針より)