これについて、古来よりいろいろの思想が見られ、先学はこれを四種に大別している。
(1)肉体的生(いのち)の存続を信じて死を否定しようとする考え
これは肉体的生命に対する直接的表現である「死にたくない」という本能的欲望によ
るものである。中国の神仙説話に出てくる不老不死の霊薬を服すれば不死になるとい
う考えや、古代エジプトで肉体は一端死ぬけれども時を得てよみがえると信じたミイ
ラ信仰はこの例であり、さらに現代医学が死病とされる癌はいつかは完全に治癒する
ことができるようになると考え、臓器移植や人工臓器によって生(いのち)の存続を
はかろうとすることも、この類に属すると云えよう。
(平成5年度 浄土宗布教・教化指針より)