「宗教は儀式なり」といわれているごとく、儀式なき宗教は存在しない。本宗にても大は本山における数日にわたる大法要から、小は日常の勤行に至るまで種々な儀式がある。【浄土宗法要集】には宗定の各種法要が示されているから、寺院における法要儀式のみならず、檀信徒各家の儀式(葬儀、年忌、結婚式等)に参加して儀式の意味と仏教および念仏の教えを十分に説きあかして、仏教に対する理解と念仏信仰の涵養につとめなければならない。儀式には必ず布教が伴わなければならない。儀式のみでは宗教的情操の涵養に資することはできても、十分な布教とは云えない。
法要儀式は信仰の具体的表現であるから、儀式を執り行うものは真剣に仏に奉仕すべきものである。服装、動作、誦経等すべて威儀法則にかない、参詣者にその意味を十分に説明して法悦の境に入らしめるものでなければならない。かくて儀式もまた布教といえよう。また、檀信徒より喜捨をいただける価値ある誦経念仏でなければならない。時間給的なアルバイトと考えたり、テープレコーダー式の誦経念仏であったならば、かえって檀信徒の信仰心を障害するものであることを忘れてはならない。
(平成2年度 浄土宗布教・教化指針より)